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代替ドナーからの造血幹細胞移植を受けた成人患者の治療成績

Composite GRFS and CRFS Outcomes After Adult Alternative Donor HCT
J Clin Oncol. 2020 Jun 20;38(18):2062-2076.
PMID: 32364845 DOI: 10.1200/JCO.19.00396

目的
HLA合致(非)血縁ドナーがいない患者への造血幹細胞移植に関して、どの代替ドナー(臍帯血[UCB]、ハプロ haploidentical、HLA1抗原不適合骨髄[7/8-BM]、HLA1抗原不適合末梢血[7/8-PB])が最善かについてのコンセンサスは得られていない。

方法
著者らは、UCB (n=838)、ハプロ (n=159)、7/8-BM (n=241)、7/8-PB (n=960)のソースから移植された2,198人の患者について、無GVHD・無再発生存(GRFS*)と無慢性GVHD・無再発生存(CRFS**)を報告する。
ほとんどが強度減弱前処置(RIC)を受けたハプロ群以外の群は骨髄破壊的前処置(MAC)またはRICに分けられた。
複数の検定を行うため、多変量解析ではp<0.0071、直接比較ではp<0.00025をそれぞれ統計学的に有意とみなした。
* GRFS:graft-versus-host disease (GVHD)-free relapse-free survival
** CRFS:chronic GVHD (cGVHD)-free relapse-free survival

結果
多変量解析において、ハプロ群がGRFS、CRFS、全生存(OS)ともに最も良好だった。
直接比較では、MACを受けた患者について見るとUCB、7/8-BM、(アレツズマブまたは抗胸腺グロブリンによる)血清療法を受けた7/8-PBの間でGRFSとCRFSに違いはみられなかった。
対照的に、血清療法を受けなかった7/8-PB群は7/8-BM群と比較してGRFSが有意に劣っており、cGVHDの頻度が有意に高く、CRFSも不良な傾向がみられ(ハザード比[HR], 1.38; 95%信頼区間, 1.13-1.69; p=0.002)、UCB群と比較してcGVHDの頻度が有意に高くCRFSが不良な傾向がみられた(HR, 1.36; 95% CI, 1.14-1.63; p=0.0006)。
RICを受けた患者について見ると、全ての群でハプロ群と比較してGRFSとCRFSが有意に劣っていた。

結論
登録症例の後ろ向き解析という制約とドナー選択に際しての選択バイアスが存在する可能性はあるものの、著者らのデータはMACを受ける患者へのUCB、7/8-BM、7/8-PB(血清療法を併用)移植と、RICを受ける患者へのハプロ移植を支持する。ハプロ移植群は全群の中で最良のGRFS、CRFS、OSを示した。

# by kusarenaikai | 2020-06-20 16:55 | 同種造血幹細胞移植

ステロイド抵抗性の急性GVHDに対するルキソリチニブruxolitinib投与

Ruxolitinib for Glucocorticoid-Refractory Acute Graft-versus-Host Disease
N Engl J Med. 2020 May 7;382(19):1800-1810.
PMID: 32320566 DOI: 10.1056/NEJMoa1917635

背景
急性GVHDは依然として同種幹細胞移植の大きな制約の一つであり、全ての患者が標準的なステロイド治療に反応するわけではない。第2相試験において、選択的JAK1、JAK2阻害薬であるルキソリチニブはステロイド抵抗性の急性GVHD患者に有望な効果を示した。

方法
著者らは、多施設共同・ランダム化・オープンラベル第3相試験を実施し、ルキソリチニブ内服(10mg 1日2回)と、一般的に行われる9つのオプションから担当医師が選択する治療法(対照)の効果と安全性を比較した。対象患者は12歳以上で、同種幹細胞移植後にステロイド抵抗性の急性GVHDを合併した患者とした。
主要評価項目はday28における全奏功(完全奏効または部分奏功)とした。重要な副次評価項目は、day56における持続的な全奏功とした。

結果
合計で309人がランダム化の対象となり、154人がルキソリチニブ群、155人が対照群に割り付けられた。
day28における全奏効率はルキソリチニブ群の方が対照群よりも高かった(62%[96人] vs 39%[61人]; オッズ比 2.64、95%信頼区間[CI] 1.65-4.22、p<0.001)。
day56における持続的な全奏効率はルキソリチニブ群の方が対照群よりも高かった(40%[61人] vs 22%[34人]、オッズ比 2.38、95%CI 1.43-3.94、P<0.001)。
6ヶ月時点における累積の奏功喪失率はルキソリチニブ群で10%、対照群で39%と推定された。
無失敗生存期間の中央値はルキソリチニブ群の方が対照群よりも長いと考えられた(5.0か月 vs 1.0か月; 血液疾患の再発・増悪、非再発死亡、急性GVHDに対する新たな全身治療の追加に関するハザード比 0.46; 95% CI, 0.35-0.60)。
全生存期間の中央値は、ルキソリチニブ群で11.1か月、対照群で6.5か月(死亡に関するハザード比 0.83; 95% CI, 0.60-1.15)。
28日以内に発生した有害事象で頻度が高かったものは血小板減少(ルキソリチニブ群 50/152 [33%]、対照群 27/150 [18%])、貧血(46/152 [30%]、42/150 [28%])、サイトメガロウイルス感染症(39/152 [26%]、31/150 [21%])だった。

結論
ルキソリチニブによる治療は対照治療と比較して効果が高く、一方で最も頻度の高い毒性である血小板減少の頻度も高かった。

(Funded by Novartis; REACH2 ClinicalTrials.gov number, NCT02913261.). 

# by kusarenaikai | 2020-06-20 16:01 | 同種造血幹細胞移植

未治療のCD30陽性末梢性T細胞リンパ腫を対象とした,ブレンツキシマブ・ベドチン併用化学療法の第3相試験

Brentuximab vedotin with chemotherapy for CD30-positive peripheral T-cell lymphoma (ECHELON-2): a global, double-blind, randomised, phase 3 trial.
Lancet. 2019 Jan 19;393(10168):229-240
PMID: 30522922, doi: 10.1016/S0140-6736(18)32984-2

背景
第1相試験で観察された心強い活性と管理可能な安全性に基づき,CD30陽性の末梢性T細胞リンパ腫に対する治療としてのA+CHPとCHOPの有効性と安全性を比較するECHELON-2試験が開始された。
A+CHP: ブレンツキシマブ・ベドチン,シクロフォスファミド,ドキソルビシン,プレドニゾロン

方法
ECHELON-2は二重盲検,ダブルダミー,プラセボ対照ランダム化第3相試験である。(ECHELON-2 is a double-blind, double-dummy, randomised, placebo-controlled, active-comparator phase 3 study.) 治療歴のなく,適格条件を満たしている成人のCD30陽性の末梢性T細胞リンパ腫患者(75%が全身性の未分化大細胞リンパ腫であることを目標とした)が対象で,17カ国の132施設が参加した。対象患者はランダムに1:1の比でA+CHPまたはCHOPのいずれかの治療に割り付けられ,それぞれの治療を21日毎に6回ないしは8回受けた。ランダム化は,それぞれの地域で行われた病理学的評価による組織亜型と,IPIスコアによって層別化を行った上で行われた。
全ての患者が各サイクルのday1にシクロフォスファミド750 mg/m2とドキソルビシン 50 mg/m2を経静脈的に投与され,day1からday5までプレドニゾロン100 mgを内服した。これに加えて,A+CHP群ではブレンツキシマブ・ベドチン1.8 mg/kgとビンクリスチンのプラセボを,CHOP群ではビンクリスチン 1.4 mg/m2とブレンツキシマブ・ベドチンのプラセボを,それぞれ各サイクルのday1に投与された。
主要評価項目は,割り付けを伏せた上で独立に一元的にレビューされた無増悪生存とし,intention-to-treatで解析した。
This trial is registered with ClinicalTrials.gov, number NCT01777152.

結果
2013年1月24日から2016年11月7日までの間に,601人が適格性を評価され,このうち452人が参加し,A+CHP群とCHOP群のいずれかに各群226人ずつランダムに割り付けられた。無増悪生存期間の中央値はA+CHP群が48.2ヶ月(95% CI 35.2〜評価不能),CHOP群が20.8ヶ月(12.7〜47.6)で,ハザード比は0.71(0.54-0.93, p=0.0110)だった。有害事象は発熱性好中球減少症(A+CHP群 41件[18%],CHOP群 33件[15%]),末梢神経障害(117件[52%],124件[55%])の頻度と重症度を含めて両群で類似していた。致死的な有害事象はA+CHP群で7件(3%),CHOP群で9件(4%)みられた。

考察
CD30陽性の末梢性T細胞リンパ腫において,A+CHPを用いたフロントライン治療は,無増悪生存と全生存のいずれをも改善し,かつ安全性は管理可能であり,CHOPよりも優れていた。

FUNDING:
Seattle Genetics Inc, Millennium Pharmaceuticals Inc, a wholly owned subsidiary of Takeda Pharmacuetical Company Limited, and National Institutes of Health National Cancer Institute Cancer Center.

# by kusarenaikai | 2019-02-26 13:03

再発難治性DLBCLに対するニボルマブ単剤投与(第2相試験)

Nivolumab for Relapsed/Refractory Diffuse Large B-Cell Lymphoma in Patients Ineligible for or Having Failed Autologous Transplantation: A Single-Arm, Phase II Study
J Clin Oncol. 2019 Feb 20;37(6):481-489.
PMID: 30620669, DOI: 10.1200/JCO.18.00766


目的
再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者に対する治療の選択肢は限られている。腫瘍細胞はprogrammed death-1チェックポイント経路を利用して免疫監視を回避することが可能である。今回の研究で,著者らは再発・難治性DLBCL患者を対象に,ニボルマブを用いたprogrammed death-1阻害の有効性と安全性を評価した。

方法
今回の研究はオープンラベルの第2相試験であり,自家造血幹細胞移植(auto-HCT)の適応とならないか,またはauto-HCTを行ったが治療失敗した再発・難治性DLBCL患者を対象に,ニボルマブ3 mg/kgを2週間毎に投与した。ニボルマブの有効性,安全性だけでなく,9p24.1遺伝子の変化についても評価した。

結果
治療を受けた患者は121人で,auto-HCT後に治療失敗したコホート(auto-HCT-failed cohort)の87人はニボルマブを中央値で4回投与され,auto-HCTの適応とならなかったコホート(auto-HCT–ineligible cohort)の34人は中央値で3回投与された。フォローアップ期間の中央値はauto-HCT–failed cohortで9ヶ月,auto-HCT–ineligible cohortで6ヶ月であり,独立して評価された客観的奏効率はそれぞれ10%と3%,奏功持続期間の中央値は11ヶ月と8ヶ月だった。無増悪生存期間と全生存期間の中央値はauto-HCT–failed cohortが1.9ヶ月と12.2ヶ月,auto-HCT–ineligible cohortが1.4ヶ月と5.8ヶ月だった。完全寛解が得られた患者は3人で,いずれもauto-HCT–failed cohortであり,3人とも持続的な効果がみられた(11ヶ月以上,14ヶ月以上,17ヶ月)。治療に関連したgrade 3または4の有害事象は患者の24%で報告された。頻度が多かったものとしては好中球減少(4%),血小板減少(3%),リパーゼ上昇(3%)があった。9p24.1の解析が可能だった全てのサンプルのうち,16%で低いレベルのコピー数増加がみられ,3%で増幅がみられた。

結論
ニボルマブの単剤治療は,auto-HCTの適応が無いかauto-HCT後に治療失敗したDLBCL患者において良好な安全性を示したものの,全奏功率は低かった。9p24.1遺伝子の変化は,DLBCLにおいては頻度が低かった。



# by kusarenaikai | 2019-02-22 02:37

体外増殖させた臍帯血を用いた造血幹細胞移植の第1/2相試験

Phase I/II Study of Stem-Cell Transplantation Using a Single Cord Blood Unit Expanded Ex Vivo With Nicotinamide.
J Clin Oncol. 2019 Feb 10;37(5):367-374.
PMID: 30523748 DOI: 10.1200/JCO.18.00053

目的
臍帯血(umbilical cord blood, UCB)グラフト中の造血幹細胞や前駆細胞の数が増えると,臍帯血移植後の造血回復までの時間が短くなる。この研究において,著者らはニコチンアミドの存在下で体外増殖させた臍帯血グラフトを骨髄破壊的前処置後に単独の造血幹細胞グラフトとして移植する方法の安全性と有効性を評価した。

方法
36人の造血器悪性疾患患者が11施設で移植を受けた。

結果
day 42時点での好中球の累積生着率は94%だった。ウイルス感染によると思われる二次性生着不全が2例あった。造血の回復は,Center for International Blood and Marrow Transplant Researchに報告された標準的な臍帯血移植レシピエント(n=146)で観察された結果と比較した。好中球回復までの時間(中央値)は,ニコチンアミド存在下で増殖させた臍帯血を移植したレシピエントで11.5日(95%信頼区間 9-14)で,対照群では21日(20-23)だった(P<0.001)。血小板回復までの時間は,34日(32-42)と46日(42-50)だった(P<0.001)。day 100時点での急性GVHD(grade2〜4)の累積頻度は44%,grade3〜4は11%だった。2年時点での全ての慢性GVHDの累積頻度は40%で,中等度〜重度の慢性GVHDは10%だった。2年間の非再発死亡率と再発率は,累積でそれぞれ24%と33%だった。2年時点での全生存率と無増悪生存率は51%to
42%だった。

結論
ニコチンアミド存在化で体外増殖させた臍帯血は好中球回復までの時間(中央値)を9.5日(95%信頼区間 7-12),血小板回復までの時間を12日(3-16.5),それぞれ短縮させた。今回の試験は体外で増殖させた臍帯血を単独のグラフトとして用いる方法の実現可能性,安全性,有効性を確立した。

# by kusarenaikai | 2019-02-13 13:03


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